サイバーセキュリティや人工知能(機械学習等)を中心に、最新技術を研究しています。
警察関係者によって書かれたデジタル・フォレンジック本ということで読んでみました。
[目次]
第1部 デジタル・フォレンジックの基礎
第1章 デジタル・フォレンジック序論
第2章 パソコンにおけるデジタル・フォレンジック
第3章 ネットワークにおけるデジタル・フォレンジック
第4章 モバイルにおけるデジタル・フォレンジック
第5章 他の電子機器におけるデジタル・フォレンジック
第2部 デジタル・フォレンジックの実務
第6章 事前準備
第7章 現場における対応
第8章 デジタル・フォレンジックによる解析と報告
第9章 デジタル・フォレンジックの今後
[書評]
構成は上記のように大きく2部構成になっていて、第1部で前提となる知識を網羅的に述べた後、第2部では第1部で得られた知識を実際の現場でどう活用するかという構成で書かれています。
内容的には、IT系技術者であれば9割方は知ってて当たり前的なことが情報技術者試験対策の教科書と同じかそれ以上に詳しく書かれていて、自分の知識を体系的に確認する意味でも一読の価値はあります。
全体的に非常に完成度の高い本ですが、あえて難を言えば、IT系専門書籍にしては図表が少なめで、せっかくの図表も図中に書かれている文字が小さくて(老眼の私には)読み辛いことが挙げられます。
警察関係者が自分達の手の内を簡単に明かすとは思えないのでこれで全てとは思いませんが、IT技術者から見れば一般人である警察関係者がこれだけの知識の理解と習得を要求されるのは大変だろうなと思います。
本書の後半で「官民連携」のような言葉が散見されるようになりますが、日々進歩巧妙化するサイバー犯罪は警察単体では対処できないことの現れとも読めます。
つい先日も「防衛大、サイバー教育に本腰 講座開き人材育成」という報道があり、カリキュラムの詳細が気にはなるところですが、報道されている内容や時間数ではとても満足の行く教育は不可能ではないかと思います。
そうなると官民連携のような温い連携ではなくて、より民間の技術力に依存せざるを得なくなる状況になるのではないかと思われます。
私もがんばって勉強して、警察庁や防衛庁に頼られるセキュリティ系エンジニアになりたいと思います。
もちろん、有償で(笑)。
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記述に際しては、細心の注意をしたつもりですが、間違いやご指摘がありましたら、こちらからお知らせいただけると幸いです。