サイバーセキュリティや人工知能(機械学習等)を中心に、最新技術を研究しています。
『裏切りのプログラム』に続く、柳井政和氏によるハッカー小説第二弾。
地方出身で経済的に恵まれず、大学進学で東京には出てきたものの就職活動にも失敗した男がダークサイドに堕ちるという、実際にあっても全然おかしくないリアルなストーリーに、モチーフに使われている顔認識という先端技術が、(現時点でまだそこまでの認識精度に至っていないことを差し引いても)悪意の者の手に渡ると国や人にとっての災厄になりうるというリアルさが相まって、読んでいて不安をかきたてられます。
ただ前作でもそうでしたが、悪意の登場人物達が皆どこかヌルいと言うか、完全な悪意に振り切れていないところに作者の優しさを感じられて、それが善悪のコントラストを弱めてしまっている印象が否めません。
次回作にも期待したいと思います。
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